他店がやらないことを徹底的にやり続ける
「出稼げば大富豪」という著書がベストセラーとなっている。シリーズは4作目まで出版されている。これは年収29万円の貧乏ITベンチャー企業の社長が、インドネシアのバリ島で“兄貴”と慕う日本人の大富豪に巡り会い、兄貴の教えを実践しながら、金持ちになるための修行を日記風につづったものだ。
片やIT企業の社長は国立大学の博士号課程まで進みながら、貧乏にあえいでいた。片や兄貴は中学時代は1800人を率いる元暴走族の総長。中卒ながらバリ島でリゾート開発企業のオーナーとして成功を収め、資産4000億円の大富豪ぶりは、テレビでも紹介されている。
兄貴が金持ちになるにはきっかけがあった。
ふらりと渡ったバリ島でビールが温いことに気づいた。バリ島では冷蔵庫がないために、生温いビールを飲むのが当たり前だった。そこで冷蔵庫のレンタル業を始める。羽振りのいい日本人に見えたのか、やがて村人が金を借りに来るようになる。
困っている人を見ると放っておけない兄貴は、親切に貸していた。ある村人が病院の治療費を借りにきたが、返済できなくて代わりに差し出したのが土地の権利書だった。その土地がリゾートホテル開発にひっかかり、78倍で売れたことが大富豪になる第一歩で、自分でも不動産売買やリゾート開発を手がけるようになる。
著者は「商売道」の教えを請うために兄貴に弟子入りする。兄貴の商売道をまとめたものが処女作となるが、ここで兄貴は著者にミッションを課した。
博士号過程から兄貴が思い浮かんだのが白衣。全国の書店営業へ白衣を着ていくことを厳命した。
兄貴の教えは至ってシンプルなものだった。墓参りせよ、先祖には感謝、いつも笑顔で、と。白衣を着ることも簡単だが、それを着て街中を歩くには勇気が必要だ。
街中での白衣姿は好奇の目で見られ、電車に乗れば周りが席を空ける、手を挙げてもタクシーは止まってくれない、警察には何度も職務質問を受けた。
兄貴の教えとは「人がやらないことを徹底的にやる。常識を否定することにビッグチャンスがある。人と同じことをやっても成功はしない」というものだった。
最初は恥ずかしかった白衣姿も今や著者のトレードマークとなり、動く広告塔として絶大な効果を発揮したことはいうまでもない。
兄貴流金持ちの極意もシンプルだ。
「金持ちになりたかったら、まず周りの人を豊かにすること。他人を豊かにすると結果的に帰ってくる。ただ、すぐに見返りを求めるようではアカン」
この言葉はホールにもそのまま当てはめることがでる。
稼働を上げたかったらまず、お客さんを豊かにすること。出玉や接客サービスで心豊かになったお客さんは必ず帰ってくる。そして、すぐに釘を閉めたらダメ。
さらに、稼働が上がらないのは、周りと同じことをやっているからで、他店がやらないことを徹底してやりつづけることだ。