地域密着営業を実践するホールは広告規制とも無縁
8月1日から実施された広告宣伝の規制強化を受け、全国のホールが右往左往している。毎度のことではあるが、都道府県によって行政指導に温度差があることも事実。特に出玉系イベントが禁止されたことで、集客に四苦八苦しているホールが多い中、禁止されている特定機種イベントを堂々と謳っている県もある。
それはさておき、そもそもパチンコ業界でイベントなるものを最初に打ち出したのは、1989年10月にオープンした福岡の「ディズニー清川店」だった。1000台クラスの大型店で店内にはローラースケートを履いた案内係の女性スタッフがいた(現在は会社が存在しない)。
何かと話題づくりの上手い藤井鋭三郎社長が、当時流行っていた「オヤジギャルコンテスト」をホールで開催したのが、イベントの先駆けでもあった。同ホールに機械を納入していた東洋商事(現フィールズ)の山本英俊社長(当時)がこれを見て、イベントによる集客を全国に広めていった。
あれから20年以上が経過した。今やイベントといえば出玉系イベントが一般的だ。しかも特定の機種を対象にしたイベントを業界ではイベントというようになった。
ただ、ユーザーからすれば「ガセイベント」と評判はすこぶる悪い。にもかかわらず、ホールはイベントに頼ろうとする。ここにもホールとユーザーの温度差がある。
イベントをすることなく集客に成功しているホールの代表例が、埼玉・上尾市のヤマフジだ。
ヤマフジはイベントをしない理由として「正直営業」を謳っている。常に公平であるために出玉イベントをしない、というのがその理由で、店内ポスターにはこんな文言が掲げられていた。
「出玉イベントをすれば、一時的に多くのお客様にご来店いただけるかも知れません。けれど、その一方で出玉イベントをすれば、出す日とそうでない日を作ることになります。
私たちはいつ来ても、何時に来ても、公平に遊べるお店でありたい。それが店にとって、とても大切だと思うからです。
そして、1人でも多くのお客様にヤマフジファンになっていただきたい。だから私たちは出玉イベントを行いません。」
もう1社、新台入替えやイベントに頼らないホールとして、注目されているのが函館の「パチンコ富士」だ。同ホールは毎週日曜日ホールの駐車場を解放して地元の朝市を開催している。
地域の人、物、心の交流の場、出品者と来場者の交流の場を提供するのが狙いで、すでに90回以上開かれている。
一般景品は9割以上が地元で生産された商品で占められている。その種類たるや白菜、ねぎ、ダイコン、活けホタテ、エビ、ホッケの開き、と生鮮野菜から魚介類まで。醤油やジャムもすべて地元の商品で占められている。
ここには地域密着を実践している真のホールの姿がある。この域に達すると地域がホールを応援してくれるようになる。信頼関係ができあがると新台入替えやイベントに頼ることなく固定ファンがつく。
出玉系イベントが禁止されたのであれば、ここは考え方を切り替え、真の地域密着営業を目指すことに血道を上げてみてはどうだろうか。