就職氷河期の学生が選択するパチンコ業界
今春、東京六大学のうちの一つを卒業予定だが、未だに就職が決まらず、パチンコ業界へ就職しようかどうか悩んでいる学生がいる。
パチンコ業界に詳しく、ホール店長経験もある知人が、新年早々相談に乗ることになった。当日現れたのは、その学生だけではなかった。学生の父親をはじめ、他大学へ通う友人3人、さらにはその大学の就職課の職員まで総勢6人。就職説明会では聞くことができないであろう第三者が語るパチンコ業界の実情に4時間あまり耳を傾けた。
なぜ、こんな相談会になったか、というとブログが取り持つ縁だった。
知人はブログでパチンコ業界での経験談を元に独自の視点で業界改革などについて熱く語っている。相談者の学生がネットで業界のことを調べているうちに、知人のブログを発見して、相談に乗ってもらうことになった、というわけだ。
この時期になっても就職が決まらない、ということは相当な焦りを持っている。パチンコ業界を選択してもいいのかどうか、自分では判断がつかない。
学生のお父さんは中卒で職人。一人息子を苦労して大学に入れた。それだけに「パチンコ店へ就職させるために大学へやったのではない。一生働けるように手に職をつけろ」と反対意見だった。
パチンコ業界では20年以上前からホール企業の大学生の新卒採用が始まっている。当時から同じような理由で親御さんの反対はあった。この間、パチンコ業界も大きく変わったが、世間が見るパチンコ業界のイメージは変わっていな、ということである。
就職課の職員は「50~60社も落ちて、エントリーシートが涙で書けない学生もいる中、大手チェーンはたくさんの学生を取ってくれてありがたい。30年、40年後もその会社で頑張って欲しい」とエールを送るが、本心は別のところにあった。
卒業生の就職先がホール企業というのは、大学の宣伝効果にならないだけでなく、マイナスイメージに働くことを懸念しているのが読み取れた。
相談に来た学生は結局のところ、行くところがないので消極的な理由でパチンコ業界に入ろうかどうか悩んでいるわけだ。そんな気持ちで就職先を選べば、業界は違っても長続きはしない。パチンコ業界で何をしたいのか夢や目標がなければ、3年で65%が離職するグループに入ってしまう。
本当にパチンコ業界が好きで、日本人の余暇にパチンコは欠かせないレジャー産業に自分の手で変えて見せる、というぐらいの志と問題意識を持つことも必要だろう。
都内の優良ホールの採用方法が面白い。いきなり正社員採用することはしない。準社員や派遣社員で働き、2~3年経ったところで正社員に登用する。働く方もその会社の社風や内情も十分理解しているので、その時点で将来も働けると思えば、正社員採用してもらえばいい。いわゆる“見合い”期間を経ての正式採用なので、離職率が極めて低いことが特徴でもある。
4時間のレクチャー後、学生4人が下した結論とは…
それは皆さんの想像にお任せする。