まずは温泉地のパチンコ店から中国人観光客を取り込め
政府は7月1日から中国人観光客のビザの発給要件を大幅に緩和した。これまで、添乗員付きの団体客と年収25万元(約340万円)富裕層に個人ビザを認めていたが、1日から年収6万元(85万円)程度の中間層まで引き下げることで、従来の10倍に当たる1600万人が個人ビザの対象となる。
観光立国を目指す観光庁は、経済成長が続く中国人観光客を増やすことで、日本経済の活性化に役立てたい狙いがある。なにしろ、中国人観光客が使う金額は、平均で11万6000円。これは他の外国人に比べて3~4倍も多い。
購買力の高い中国人観光客を呼び込むために、デパートや家電量販店、ホテル、旅行代理店などの関連産業は、中国語の話せるコンシェルジュを配置したり、中国人向けのクーポン券を発行したり、とこの商機を逃すまいと知恵を絞っている。
実は2年ほど前、華僑系のパチンコ店に中国人観光客を取り込む提案をしたことがあった。中国語のホームページ制作、中国の検索エンジン百度対策、旅行代理店とのタイアップによるパチンコのオプショナルツアーなどが主だったものだった。
当時は団体客が主流だったため、日本観光のスケジュールがびっしり組み込まれ、自由行動時間がないことがネックになり、実現には至らなかった。
この問題が個人ビザの発給要件緩和により解消される。団体行動から開放され、個人が好きな場所へ行ける。
中国人が日本に求めるのはショッピング、温泉、自然の景観、日本食など。で、何を買っているかといえば、化粧品、菓子、タバコ、家電製品、洋服。
人気の観光地ランキングでは東京、大阪、千葉、北海道、愛知、山梨と続く。
ということは、北海道や山梨などの温泉地にあるパチンコ店は、中国人観光客を集客するには最高のロケーションだ。さらに、中国人が買いたいものがパチンコ景品の中にもある。
パチンコを楽しんで、なおかつ勝てば欲しい景品がもらえる、となればパチンコは、日本観光の中では未開拓だった娯楽のカテゴリーで人気が沸騰する可能性を秘めている。なにせ、売り上げでラスベガスを抜いたマカオを支えるほどギャンブル好きの中国人である。
少子化、中流層の減少で日本のパチンコ人口がこれ以上増えないのであれば、ここはパチンコ業界としても中国人観光客を取り込まない手はない。