オネエを積極採用するホール
リーマンショックの時は、派遣切りが社会問題になったほど、一般企業が採用を大幅に手控えたことから、パチンコ業界へ人材が集まった時期がしばらく続いた。それまで派遣会社を使っていたホールが、自社でのアルバイト募集に切り替えたほど、集まりやすかった。
それも今や昔。
再び業界は深刻な人手不足の状況が続いている。それは大手とて例外ではない。昨年末、マルハン新世界店がグランドオープンする時に時給1800円という破格の値段を出しながら、それでも満足のいく人員を確保することはできなかった。
パチンコ業界だけでなく、サービス業は特に人気がない。昔からパチンコホールは一般業種に比べ時給が高額だったことが魅力であり、アドバンテージだったが、人材が確保できない飲食業などもパチンコ業界並みの時給を提示してきている。
この人材難に身だしなみに厳しい基準があった大手が、ついに黒髪を諦めた。今やカラーリングしていない若い女性を探す方が厳しい時代だけに、折れるしかなかった。マニキュアもデコネイルでなければ容認するホールも増えてきた。今やカラーリングとマニキュアは女性の必須アイテムとなっている。これをOKにするだけでもハードルが低くなる。
そんな慢性的人材難が続く中、積極的にオネエを採用するホールが出てきた。
男性として正社員として採用されたが、仕事に慣れてくると、ついにオネエの本性が出てしまったケースがあった。仕事で失敗して叱ると「いや~ん」とオネエ言葉が出るようになった。
接客でもオネエ言葉が普通に出るようになった。大当たりしたお客さんには「わ~おめでとう。良かったじゃない」と逆にフレンドリーな接客が受けるようになった。
特にオネエ従業員はおばちゃん層にはすこぶる好評で、その従業員を探し出して、話をしてからパチンコを始めるのが日課になったおばちゃんも。それほど、オネエ従業員目当てのファンも増えた。事務所では「課長、昨日、お尻が痛くなることをしちゃったの」と下ネタも普通にポンポン飛び出すようになった。
これは採用したら偶然オネエだったわけだが、今回は夜の世界で働いている本物のオネエを採用しようという試みだ。
「スタッフの差別化が狙いです。それとオネエがいると社内の風通しがよくなる。そんなこともできるのが中小ホールで大手には絶対に真似できません」(ホール採用担当者)と胸を張る。
パチンコがエンターテインメント産業のように、お客さんを楽しませるオネエ従業員はある種のエンターテイナーともいえる。