デパート商品券の買取を始めた有楽町TUCの挑戦
その昔、TUC(東京ユニオンサーキュレーション)の金賞品大(1g)が2500円だった時代、金価格が高騰して3000円近くになった時、特殊景品を貴金属店へ持ち込んだ中国人グループが出没したことがあった。等価の店なら玉を買ってそのまま換金すれば差額を店に取られることもなく、特殊景品を手に入れることができる。金賞品が本物であるが故に、逆サヤを抜かれてしまった。
その対策として金賞品を随時値上げして、逆サヤを抜かれないようにしたが、その逆のケースもあった。家にあった貴金属をTUCに持ち込んで換金してもらおうとしたおばあちゃんがいた。当時は現在の様に貴金属を買い取ってくれる店がなかった時代で、パチンコ代を捻出するために家にあった貴金属を持ち込んだが、もちろん買取は断られてしまう。
TUCに加盟する卸売業者がパチンコ店に金景品を卸し、パチンコ店は客に出玉と引き換えにその金景品を渡す。そして客がその景品をTUC窓口に持ち込むとTUCがそれを買い取り、買い取られた景品はTUCから組合を通じて卸売業者に売却される、という形でシステムが運営されている。
TUCは都内における統一した買取事業なのだが、有楽町にあるTUCがこのほど、デパート商品券の買取業務を始めている。同TUCはデパート商品券の買取だけでなく、4月27日から米ドル、ユーロ、元の両替業務も行っている。
交換レートは前日の終値を適用。交換時には、1ドル(または1元)当たり2円の交換手数料を取っている(ユーロは4円)。
この狙いについて同TUCを運営する関係者は次のように述べている。
「三店方式の中でグレーゾーンと言われる景品交換所に、新たなビジネスを介在させることでグレーなイメージを払拭したいと考えました。また、東京オリンピック開催に向けたインバウンド対応の一環とも言えます。TUCショップは都内の繁華街や商店街などパチンコホールがある所の近くにありますので、普及すれば訪日外国人にとって利便性が高いと思います。その延長で、ホールが外国人客を取り込むきっかけになれば、と期待しています」
両替業務は1998年の外為法の改正で財務大臣の認可を必要とせず、自由に行えるようになっている。
両替業務の延長線上にデパート商品券の買取業務を開始したことで、TUCのイメージアップにも貢献している。デパート商品券だけでなく、新幹線のチケットも扱うようになれば、TUCがチケットショップの役割も果たすことになる。
警察庁の指導でホールが換金所を教えることはできないが、チケットショップとして正々堂々と教えられる時代が来るかも知れない。