パチンコに魅了された中国人富裕層
3年ほど前から中国人観光客をパチンコに取り込むことを提案してきたが、その思いを確信する出来事があった。
東京の知人のところに「中国人観光客がパチンコをやりたがっているんだけど、案内してもらえないだろうか」という依頼の電話が入った。
彼も中国人観光客をパチンコに取り入れることを提唱していたので、この依頼を二つ返事で引き受けた。
一行は上海から来ている富裕家族32人の団体だった。
パチンコは18歳未満は入店できないことを説明すると、男性12人が手を挙げた。まず、新宿のホールへ案内した。ここで4円パチンコと1円パチンコの違いを説明すると全員が4円を希望。中には「10円はないのか? 一発逆転を狙うには10円がいい」という勝負師もいた。
今回パチンコ体験した12人全員がカジノ経験はある。近くのマカオより、ラスベガスまで足を運ぶぐらいの富裕層だ。
遊技方法を説明した後で台選びとなった。ここで中国人の特色が出た。彼らは不人気台はまず選ばない。この日は海の島の空き台が目立った。パチンコで定番中の定番である海のコーナーを選択する者はいなかった。
客がたくさん付いている人気機種の方が勝つ確率が高い、とでも思っているようだ。で、今回の一番人気はエヴァンゲリオンだった。エヴァを求めて違う店に連れて行ったほどだ。
いざ、打ち始めて彼らが目を輝かせたのが、リーチ演出時に突如出てくる役モノの派手な動きと激しく点滅する光だった。玉が出てくることよりもそっちに興味が惹かれたようだ。
時間は夕方6時から8時までの2時間と限られていた。
12人の戦果は4人が勝って6人が負け。2人がトントン。2時間ほどだったが負けた人で1万円、勝った人でも1万6000円ほど。
パチンコを実際に体験して全員が「時間があったらもっと打ちたかった。接客もいい。また、日本へ来たら絶対に打ちに行く」と口を揃えた。
カジノに行く中国人富裕層はパチンコなんかしない、というのは日本人の勝手な思い込みで、中国にない日本文化に彼らは一際興味を持っている。
今、中国人に一番人気の体験ツアーは寿司職人体験。ハッピを着て自分の手で寿司を握って食べる。これが2時間コースで1万2000円。
今回、知人はパチンコのオプショナルツアーで一度パチンコを体験すれば「中国人はリピーターになる手ごたえを感じた」という。
長引く不況、少子高齢化でパチンコ人口は減る一方だ。パチンコ業界は不法滞在した中国人グループにゴトをされた過去があるので中国人にアレルギーがある。しかし、業界として中国人富裕層を取り込むことに本腰を入れる時期にさしかかっている。