パチンコ業界を改革するには基本行動の3原則を徹底することから
コロナ禍で航空業界は瀕死の状態が続いている。フライトが激減し、CAはコールセンターなどへ出向して急場をしのいでいる。
かつて、2日間で80万円の講師料が必要なインストラクター養成研修を取材したことがある。講師は元JALのCA。独立して会社を4つほど経営している社長でもある。
CAで学んだ接遇教育でもするのかと思ったが、まず、自身の自己紹介を兼ね基本行動の3原則を説明するところから始まった。
①時を守る
②礼を正す
③場を清める
これをCAの仕事に例えて説明する。
①は遅刻しないこと。これは社会人としては当たり前のことだが、CAは遅刻1回でクビになるという。
「通勤途中でおばあさんが倒れていたので助けていました」なんて理由は通用しない。仮に午後12時のフライトであれば、4時間前に出社する、という。つまり朝8時には出社する。
で、何をするか?
スカーフにアイロンをかけ、靴やベルトのバックル磨きが終わると、掲示板へ行き一緒にフライトするメンバーを確認する。CAは1000人ほど。フライトごとにメンバーは変るので、同じメンバーとフライトすることはほとんどないそうだ。
まさに、一期一会の世界。
顔と名前を一致させ、先輩にあいさつに行く。
ここで②の礼を正すに移る。
国際便の場合、当日の調べ物が必要になる。当日の天候や為替レートなどだ。それを先輩のところにいって調べ物を差し出す。天候や為替レートは誰が調べても一緒なので、そのためにみんなより早く出社して調べるわけだ。社内競争に勝てないものは他社との競争にも勝てない。あいさつに行った時も相手に迫るあいさつでないと覚えてもらえない。
国際便はファースト、ビジネス、エコノミーの3クラスに別れているが、サービスのプロとしては当然ファーストクラスを担当したい。
そのときのあいさつ一つで、当日のポジションが決まる、という。全身でオーラを発しないと指名されることはない。
③場を清めるとはそうじのこと。
新人はトイレ掃除担当からスタートする。国際線の場合、トイレの近くに立っているのは新人だ。で、客が使用すると、その後ですぐに掃除する。
掃除のできが悪いと先輩から便器に顔を突っ込まれることもある、という。新人の目ではきれいに掃除したつもりでも、先輩の目で見ると他にも汚れているところがすぐに分かる。
掃除とは気づきの訓練で、気づかない汚れを指導するのが先輩の役目でもある。
というような、話から入っていったのだが、どんどん話しに引き込まれていく。
冒頭の1時間ぐらいで切り上げるつもりだったが、結局3時間も研修を受けてしまった。
つかみがうまいので、本題の研修に入ってもみんな生き生きとプログラムをこなしている。
リーダーに求められるコミュニケーション力、プレゼンテーション力、イマジネーション力の養い方が具体的に分かっていく。
これは朝礼インストラクター教育なのだが、人材の差は教育の差であることを実感させられた。
コロナ禍でパチンコ業界も厳しい状況に置かれているが、こういう時こそ教育だ。前述の基本行動の3原則を徹底させるだけでも、ホールの雰囲気も随分変わる。優秀な人材を育てることで集客・稼働を上げるアイデアも生まれてくる、というものだ。