ホール企業の広報を考える
業界でもマルハン、ダイナムクラスともなると以前から広報室はあったが、最近、中堅ホール企業でも広報室を設ける動きが活発化してきている。
広報活動とは、企業や組織などが公衆と良好な関係を構築していく活動のこと定義している。広報を通じて、その企業のあらゆる情報を社会へ発信し透明性を確保することは、社会からの信頼を得る上で最適な手段でもある。
最近、広報上手として注目されているのが近畿大学だ。ホール企業で広報室を開設したばかりで手探り状態なら、この一冊をオススメしたい。
「なぜ関西のローカル大学『近大』が志願者数日本一になったのか」(山下柚実著)がそれだ。
大学通信調べによると2014年3月、4年連続で志願者数日本一だった明治大学を抜いて、近畿大学が初めて日本一となった。「大学は東大以外に行く価値がない」と公言してはばからなかったホリエモンこと堀江貴文が、この本を読んで「近大はあってもいいかもしれない」と推薦文まで書いている。
では、どうやって志願者を増やしたかというと、広告出稿量を減らしながらも、自らの手で年間233本ものプレスリリースを打ち、メディアに取り上げられる工夫をしつづけた。今の時代に一般企業がお手本にすべき広報を次々と実施していったのだ。
近大が大学を目指す若者だけでなく、中高年にも認知されるようになったのは、「近大マグロ」効果も少なくない。
近大の水産研究所が長年の研究によってマグロの養殖化に成功した「近大マグロ」。これを実際に食べてもらうために、大阪・梅田を皮切りに東京・銀座に出店した「近畿大学水産研究所」は、安さと美味しさで、連日長蛇の列ができて各種メディアでも再三取り上げられた。
入学後の情報発信といえば、入学式だろう。この2年ほどは同校の卒業生でもある音楽プロデューサーのつんくが入学式をプロデュースしているが、これもつんくがプロデュースしているからこそ、メディアも飛びつくように取り上げてくれるというものだ。
何でも、これまで通りに「広告代理店任せ」にするのではなく、大学の魅力をアピールするための宣伝広告・広報を大学内の広報部が主導で行っている。
「広報の役割は、メディアで取り上げられて終わりではないだろうと考えています。圧倒的な露出があって視聴者・読者に記憶されて、初めてPRになるのではないでしょうか」(広報担当 横山氏)
ホールの求人難が拍車をかける今日この頃、ホール企業のイメージを上手に発信して行くためにも広報の役割は大きくなって行く。