万年Bクラスだったカープから学ぶこと
今年のカープは主力選手がコロナで休んでいることもあって、横浜ベイスターズと最下位争いを演じているが、マツダスタジアムの入場券は、プラチナチケットと言われるぐらい入手が困難だ。
かつて、とある県遊協の総会で元広島カープの山本一義さんによる講演があった。
テーマは「プロ野球に学ぶリーダーシップ」
万年Bクラスだったカープが初優勝したのは昭和50年のこと。今から46年前のことだ。
カープの選手の考え方を変えたのはジョー・ルーツ監督だった。
「カープの仕事は応援してくれるファンのために勝って喜んでもらうこと。勝つことによって地域を活性化させる」
負け犬根性が染み付いていたカープ選手の意識改革が始まる。勝つために何をすべきかを徹底的に叩き込んだ。
行動のはじまりはすべて勝つために行う。
勝つためにいい練習をして、勝つためにいいミーティングをする。
ルーツ監督の情熱が伝わるとキャンプの紅白戦の後で、選手同士が勝つためのプレイについて話し合うようになった。
お客さんに喜んでもらうためのプレイを選手自身が考えて行動するようになると、急激に野球が強くなっていった。
従来なら試合に負けると、「今日も負けました」だった。
それが、「今日は勝てませんでした」に変わった。
「負ける」ということばを使わなくなった。
「プロは勝たなければいけない」との自覚が選手一人ひとりに出てきた。
ルーツ監督がもう一つ選手を奮い立たせたのが、ベンチを温めるだけの選手にもスポットを当てたことだ。
たとえば、相手投手の配給を読んでデータを分析させ、ピッチャーのクセを読んで狙い球が分かってヒットが出ると、さよならヒットを打った選手と同等の評価を与えた。
ゲームに出なくても相手の戦力を分析することで評価が与えられた。ベンチを温めるだけの選手にも異常にやる気が出たのはいうまでもない。
一方で、全力疾走しない、スライディングしない、悪送球を投げる、集合時間に遅れるなど、誰にでもできることをしなかったら罰金10万円を科した。
こうして昭和50年、広島県民が泣いた歓喜の初優勝を飾ることになる。
弱小球団だったカープがチケットを取れないぐらい人気になったのは、ホール側からみても参考になる点が多い。
お客さんが喜ぶためにホールは何をすべきか。これを会社が社員と一丸となって徹底的に考えることだ。
話はリーダー論に及んだ。
巨人が金にあかせて他球団の人気選手ばかりをかき集めてプロ野球をつまらなくしたことに言及した。
その後巨人の人気が凋落。巨人戦の視聴率も振るわなくなった。今では野球シーズンでもテレビで野球中継することが稀になった。
「巨人は自分のチームさえ強ければいいという考えで他球団の一流選手を獲得していったが、野球界の繁栄にはつながらなかった。リーダーは野球界全体の繁栄を考えなければならない」
このことを「パチンコ業界にも置き換えて考えなければならない」と山本さんは指摘していた。
コロナ禍も相まって業界は非常に厳しい立場にある。縮小の一途を辿っている。メーカーにしてもホールにいても、リーダーたる企業はパチンコ業界全体の繁栄を考えて行動しなければならない時期に来ている。