予想を超える感動品質のサービス
パチンコ業界が最初に接遇マナーの手本としたのが客室乗務員の接客スタイルだった。
生き残りをかけてはパチンコ業界以上に熾烈な競争をしているのがその航空会社だ。
航空業界も自由化の波で格安航空会社の参入が相次ぎ、航空運賃の料金体系が崩れたほか、テロやリーマンショック、原油価格の高騰のたびに利用客は減った。今や儲からない不況業種の一つにも数えられる。
その一方で、航空各社は他社から上客を奪うために、機内設備を充実させている。液晶テレビ、ゲーム、FAX、電話が使えるのは当たり前で、フルフラットシートに、シャワールームまで登場している。
ただ、形あるものはいずれ真似をされるので、最終的な差別化はCAの接遇にかかっており、航空各社が最も力を入れているのはCAの教育だ。
航空会社ができて当たり前のことといえば、安全、快適、利便、定時運行だ。これができないとすぐに他社に流れてしまう。
これはパチンコでいうところの出玉に当たるもので、パチンコ業界はこのできて当たり前のことができていないから、客が他店へ逃げる。
航空会社はできて当たり前のこと以上の競争をしている、ということで、それが何度もいうがCAの教育だ。
たとえば、ANAは「予測を超えるサービス、感動品質」を一人一人のCAが実践できるように教育している。
その行動基準が6つのS
1.SMILE
2.SMART
3.SPEEDY
4.SINSERITY
5.STUDY
6.SPECIALITY
この中で一番重要なものがSINSERITY(気配り、思いやり)で、客が何を求めているか、常にアンテナを張り、それを行動に移す。
たとえば、こんな話があった。
羽田~沖縄便に中年夫婦が乗っていた。窓側のテーブルには写真を置いていた。
CAがそれに気づいて声をかけた。
「娘が入院していて、退院したら一緒に沖縄へ旅行に行こうと約束していたのに、かないませんでした。それでせめて景色をみせてやりたいと思いまして…」と写真の理由を中年夫婦が話してくれた。
CAは何かしてあげたい気持ちになった。それからは飲み物や軽食も娘さんの分も含めて常に3人分のサービスを提供した。
大変喜ばれたのはいうまでもない。会社には礼状が届いた。
こうした逸話は共有し、事例集を増やすようにしている。客は感動を覚えると必ずリピーターになる。
これを業界で昔から実践しているのがマルハンだ。それを手本にするホールも出てきている。
予想を超える感動品質のサービスを提供できるホールが増えれば、増えるほど業界イメージも改善される。