出玉規制は悪いことばかりではない。大衆娯楽に戻るチャンス!
来年2月1日から施行予定の改正風営法で、パチンコ、パチスロの出玉が従来の3分の2に規制される。最大払い出しはパチンコが2400個から1500個へ、パチスロは480枚から300枚へそれぞれ引き下げられる改正案が示された。
また、パチンコには従来設けられていなかった検定試験の中時間(4時間)が新設され、標準的な遊技時間である4時間で、お客が得られる儲けの上限を現行の10数万円から5万円を下回る出玉に規制を強化する方針を固めた。これについて警察庁では8月9日までパブリックコメントを募集しているが、業界の声がどの程度反映されるかは未知数だ。
なぜ、ここまでパチンコ業界の規制が強化されたかといえば、カジノ解禁を柱とする統合型リゾート(IR)推進法が昨年12月に成立したのを受け、 政府がギャンブル依存症対策の一環としてパチンコを含め公営ギャンブルも包括的に実施しているため。日本のギャンブル依存症は536万人ともいわれ、そのうち8割以上がパチンコ依存症ともいわれている。儲けの上限を引き下げることで、負けた分を一度に取り戻そうとのめり込むリスクを減らすのが狙い。
射幸性を落とせば依存症対策になるとの考えから、出玉が規制対象になっているが、その方法は正しいのか?そもそもギャンブル依存症とは病的賭博ともいわれ、ギャンブルをやりたいという欲求を止められず、たとえ負けが続いても借金をしてでも、または、借金が嵩んで生活、人間関係に支障が出ようとも続けようとする。つまり、正常な判断ができない人が陥るのがレッドゾーンであって、射幸性を落としても、レッドゾーンの人には効果がないというのが医師の一致した見方である。
今回の規則改正は右肩下がりで遊技人口が減少している現状で、止めを刺された、と受け止める人も少なくないが、今までの業界が異常だったことに気づかなければならない。
行き過ぎた射幸性からおカネが続かなくなり業界を去ったファンは少なくない。今回の規則改正では現行の保通協試験で短時間、中時間試験の出玉の下限はパチンコ、パチスロ共に設けられていなかったが、改正案では1時間試験では33%、4時間試験では40%の下限が設けられた。つまり、飲み込まれるばかりではなくなったということである。ということは少ないおカネでも遊べる仕様になるということである。
業界は風営法改正をネガティブに受け取るのではなく、遊びやすくなることで業界を去ったファンが再び戻ってくるように努力しなければならない。本来の娯楽産業に戻るチャンスである。