女性ユーザーを増やすことが男主体の産業が生き残る道
スポーツ新聞とゴルフ業界とパチンコ業界。この3つの業界には共通した悩みと課題を抱えている。
で、共通点とはいうまでもなく男社会の産業で、しかもおやじ世代がけん引している業界であるということ。さらにビジネスモデルとしても爛熟期を迎え、業界活性化のために若い女性の取り込みがカギを握っている、ということだ。
パチンコ業界と共通する2つの業界が女性をターゲットに今、どういうことを実施しているか紹介してみよう。
まずは、スポーツ新聞から。
スポーツ報知は女性記者らが「女性目線」で読みたい記事を書く別刷りを2年前から発行している。毎月第1,3火曜日に発行している別刷り「L」がそれで、女性に好まれる料理や美容の実践的な記事を掲載している。
サンスポはことし2月からスタートした電子新聞アプリで、アプリ限定で女性向けの記事を掲載している。月額は1500円で、スポーツ界のイケメンの素顔に迫ったインタビューや女性記者のコラムを盛り込んでいる。女性はスポーツ紙を手に取るのを恥ずかしく思うので、アプリ対応にして女性読者を増やすのが狙い。
日刊スポーツはAR(拡張現実)を利用した紙面を構成している。紙面にスマホをかざすと動画を見ることができるわけだが、ダイエット企画などでダイエットに効果的な運動を動画で分かりやすく紹介し、女性読者を取り込みたい、と意気込む。
ゴルフ業界もゴルフ人口の減少には頭を抱えている。ゴルフを支えている団塊世代が65歳以上となり、年金生活と共にゴルフを卒業して行くことから、2015年はゴルフ市場が一気に縮小することが懸念されていた。
そこでゴルフ業界は団塊の世代に取って代わる層として、女性客の掘り起こしを活発化している。旅行会社が女性だけのゴルフツアーを企画したり、アパレル会社はおしゃれなウエアを投入している。ミズノは直営店で会社帰りの初心者を対象にした講習会を開いているが、女性スタッフを登用して女性客にアドバイスしている。
こうした努力が少しずつ実を結んできたのか、2014年のゴルフ人口は前年比で8%増の860万人と4年ぶりに増加に転じている。
パチンコ業界ではイベント会社のエースプロが「パチンコ未来コンテスト」を主催し、学生による学生がパチンコ店へ行きたくなるアイデアを募った。
この中に女子大生がパチンコへ行きたくなる、というのもあった。イケメンのスタッフを揃え、勝ったらハグしてもらえるとか、中年のおばちゃんが喜びそうなアイデアだった。これを考えたのは女子大生だったのだが…。
その前にパチンコはもっともっとカネのかからない遊びにハードルを下げることの方が先決だ。