従業員の体臭を注意してパワハラで裁判沙汰に
3年ほど前にNHKでパチンコ業界の香りマーケティングの取り組みが紹介されて以来、お客さんの滞在時間を少しでも長くする効果がある、として香りフレグランスを導入するホールが増えている。
特にマルハンは積極的で、マルハンのどの店に行っても同じ香りがする。
芳香は人をリラックスさせたり、興奮させたりするのだが、これが体臭となるまったく違った展開になる。
ホールスタッフのA君は、お客さんから「臭い」とクレームが来るようになった。A君が玉箱の上げ下げをすると不快な体臭が漂ってくるのだ。
お客さんから指摘されるまで、店長は臭いと気づかなかった。どれほど臭いのかと店長が鼻を30センチほど近づけたところ、確かに体臭がする。
それはワキガの臭さではなかった。
店長はA君に聞いた。
「風呂は毎日入っているのか?」
「冬場は2日に1回シャワーを浴びる程度で、毎日は入っていません」
「じゃ、毎日風呂へ入るようにしろ」
「分かりました」
ところが、それでも客からの苦情は止まらなかった。
「本当に毎日風呂へ入っているのか?」
「今は入っています」
「それでは彼女にも嫌われるだろう?」
「…」
「体臭は食べ物の影響も大きい。A君は何が好きだい?」
「肉が大好きで毎日食べています」
「それが、原因じゃないかな。肉食は体臭に影響があることを聞いたことがある。肉を食べるのを控えた方がいいぞ」
体臭は自分では気づかない。強烈なワキガも自分では気づかない。
ワキガは手術で治すことができるが、A君のような体からにじみ出てくるような体臭は治すことができるのだろうか?それ以来、A君は客前に出るのが、すっかり怖くなってきた。悩んだ末、店を辞めることになる。臭いの元が辞めてくれて店長も内心ホッとしていた。
ところが、数カ月後思わぬ事態に発展することになる。
A君は体臭のことを指摘され、精神的苦痛を受けた、とパワハラで訴えてきたのだ。
最近の弁護士は仕事がないため、着手金欲しさからか、すぐに裁判を仕掛けたがるようだ。
今回はA君が勝てる、と弁護士も踏んだのだろう。
裁判すれば、お互いに時間を取られるだけで、今回のようなケースでは争ってもあまり得策ではない。
結局は「和解」ということで決着した。
和解金をいくら支払ったかは不明だが、身内が体臭を指摘してもこのように大問題に発展するケースもある。