徹底した掃除の拘りが盤石な企業を作り上げた
2代目ホールオーナーが拘ったのが掃除だった。理由は「ピカピカのガラスからは良い波動が出て、お客さんの気分が良くなり稼働が良くなる」という強い信念があるからだ。
それを実証するために、1カ月間、台ガラスを磨かない台と毎日磨く台のデータ取りをした。その結果、毎日磨いた台の方が、稼働が上がった。ガラスが汚れで曇っているよりもきれいな台を選ぶのは客の心理としては当たり前、といえば当たり前のこと。
感覚ではきれいな台の方が上がる、とは思っているが、それを実証するためにデータ取りして、数字で見せるオーナーとなるとそうそういない。
社員には掃除と整理整頓を徹底的に叩き込む。
「一坪清掃運動」は店舗図面を区割りし、毎日1区画は清掃し塗り潰していく。1区画やると、隣の区画とのキレイさが歴然として目立つため、毎日続けてやらざるを得ない。
店長の「ピーク時30分清掃」というのがある。店長の出勤日のピーク時間【平日なら19時くらい、土日なら14時くらい】に、ツナギを着て30分間店舗の清掃をする。ピーク時30分清掃用のタイムカードもあり、開始時と終了時に打刻。「ひたいに汗ながして掃除している店長が、お客さんからボッタくるように見えるか?見えないだろ?出してくれるイイ店長に見えるだろ?」というのがオーナーの考えで、効果は抜群だった、という。
店内ポップは一般従業員に貼らせなかった。水平分度器を使って、1ミリの狂いもなく、真っすぐ水平に貼ることが求められた。
事務所の整理整頓にもうるさく「停電で真っ暗になっても何がドコにあるか分かるように決まった配置にする」という考え方。電卓を置く位置とか、幹部に支給される高級システム手帳を置く位置まで、カッティングシートを机に貼って置き場所が決まっている。
この細かな拘りは釘でも徹底した。
釘の角度とゲージのきれいさは業界随一だった。パチンコの盤面に玉が一番多くある状態の方がお客さんは楽しい、ということから導き出した角度が上げ3度だった。
釘に関しては微妙な時期なのでこれ以上は触れないが、より正確なデータを出すために、玉は真球に近い無刻印玉を使っている。
これほど、小さなことに拘り続けた結果、パチンコ業界でも有数の無借金経営を続けており、財務体質は盤石だ。
それを示す数字がこれだ。
・自己資本比率95.9%(総資本金355億円)
・自己資本比率企業格付けランキング全国72位(商工リサーチ調べ)
・銀行調査機関格付け評価73点(全業種で70点以上は極小)
小さな拘りの積み重ねがこの結果を生んでいるが、上っ面を真似てもこの結果は生まれない。