書面はダメで、データならOK
風営法23条には遊技場営業者の禁止行為が規定されている。
4には「遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること」となっている。
風営法自体が古い法律なので時代に即さないが、今、大抵のホールが貯玉再プレイシステムを導入している。
同システムを製造販売する遊技場自動サービス機工業会は、この4に抵触しそうな貯玉記録を、電磁式カードを使うことによってクリアしてきた。
つまり、貯玉記録は書面に書いて発行しているものではない。貯玉データはコンピュータに記録されているもので、カードはコンピュータのカギを開けるためだけのもので、カードには貯玉数が記録されているものではない、と法律をすり抜けた。
1990年代初頭はインとアウトのクリアが業界の懸案事項で、カード普及の代わりに貯玉システムも認められたような経緯があった。
サービス機工業会はことし4月1日から、貯玉・再プレイシステムの設計・販売に関する規約を改訂。
改訂内容は、異なる遊技料金による貯玉同士の「相互乗り入れ」に関するもので、従来の貯玉・再プレーは、例えば4パチと1パチの併設店の場合、4パチの貯玉と1パチの貯玉は別々の口座で管理されており、4パチの貯玉は1パチの再プレーで使用できなかった。ユーザーやホールにも使い勝手が悪かったが、相互乗り入れができるようになった。
具体的には、乗り入れ対象となる貯玉と、その後に払い出される玉/メダルは等価となることと規定。
乗り入れの際、貯玉残数と再プレーの払出し個数は「1」「2」などの整数でなければならないことや、どの口座から乗り入れるかは、会員自身が選択できることなども規定された。
ただし、パチンコの玉の口座とパチスロのメダルの口座との間の乗り入れはできない。
サービス機工業会としても、相互乗り入れができるようになったことは、ホールの休眠顧客を掘り起こすチャンスとして捉えていた。
例えば、休眠会員には現在残っている貯玉数を印刷してDMを発送することなどが最も有効な方法だが、DMに貯玉数を印字することは、まさしく23条4に違反して、営業許可取り消し対象となってしまう。
そのため、相互乗り入れシステムを導入したホールには注意を呼び掛けていた。
全国大手の中には同社のホームページ上から、会員番号と暗証番号を入力すると現在の貯玉数が分かるシステムを導入している。これなら風営法違反にはならないが、印字した書面を発行することが違反とは、本当に古めかしい法律だ。