衰退期のシグナルを見逃すな!
パチンコ業界でも働き方改革を検討する動きが出てきた。ある勉強会をきっかけに横のつながりができて連絡を取り合う仲になった。
その結果、「隣の芝生は青い」現象が生まれてしまった。何でも他人の物は良く見えるというように、相手方の会社が、数段レベルが高いことを思い知らされるようになった。
最初の違和感は、相手方は人材開発部長が女性だったこと。女性の部長職が存在しないのでそれだけで遅れを感じた。
現場では女性は重宝されるが、4大卒で現場から本社に上がると、そこには女性の活躍の場がなかった。せいぜい、カウンター周りに関する仕事や装飾ぐらいで、大きな仕事を任せてもらえるような風土ではなかった。完全に男社会で女性社員が口を挟む余地はなかった。
給料は一般業界に進んでいる同級生たちとは遜色はなかったが、年齢が上がると給料は上がらなくなった。
就職氷河期組で60社余りの面接を受けて、内定がでたのが今就職しているホール企業だった。
「入社1年目は何も分からなので、逆に楽しかった。でも、2~3年も経つと内情が分かってきました。男も女も4大卒で入ってきて、この会社でいいと思っている人は転職活動をしませんが、この会社はおかしいと思った人は資格を取ったりして転職の準備をしています。30過ぎると大半の人の向上心がなくなります。店長のポストは限られていますが、すぐに副店長にはなれると思った人たちが一生主任止まりで終わってしまう。うちの会社で店長になれる人は他人を押しのけて行くタイプです。それをリーダーシップがあるように評価される。向こうの会社はその人のいいところを見つけて引き上げてくれる。人材開発部長が女性だからでしょうか」と思いの丈を一気に吐き出した。
転職組のAさん(42)は入社15年で現在は本社で係長をやっている。新卒入社ではないので、新卒が優遇されることに不満を募らせている。
「ポストは能力が一緒なら新卒の方が優遇されます。後輩に抜かされて後輩が上司という主任がたくさんいます。最近は新卒も辞めないのでますますポストが不足しています。かといってできる人間も少ない。年齢的に転職の最後のチャンスだと考えています」
マンパワーによって拡大路線をひた走ってきた会社から漏れてくるこれらの声は、何を意味しているかというと、衰退期のシグナルでもある。
成熟期~衰退期に差し掛かっている会社では、今までの経営モデルや事業モデルが経営環境変化に対応できなくなってくる。店舗数が増えているのに売り上げが減少しているのは、その表れだ。
経営改革が遅れると再生期に入り、業績悪化と共にキャッシュフローが減少する状態に陥る。再生期を避け、第二創業期にするためには、大胆な経営改革のためにもトップの交代が必要になってくる。同族ではなく、実力のある真の経営者へのバトンタッチが…。