遊技人口を増やすには批判をかわせる組織固めから
人口減少時代、ファン人口が減っているのは何もパチンコだけに限らない。同じレジャーのカテゴリーを見てもスキー、ボーリング、ゴルフも若者には見向きもされず、衰退傾向にある。
例えば、ゴルフ。高校生が手軽に始められるものでもなく、高校生でゴルフに興味を持っているのは、子供のころからプロを目指して始めた一部の層ぐらい。最盛期には2兆円あったゴルフ市場が今や1兆円、と半減している。一番の要因は団塊の世代がビジネスツールとしてゴルフを使っていたが、2015年にはほとんどがリタイヤしたことで、終了したことが大きく影響している。
団塊の世代が抜けた部分をどう穴埋めするかがゴルフ業界の課題でもある。かといって人口減に加え、車の保有台数も減っているので、自然発生的な増加は見込めない。
そこで、日本プロゴルフ協会、日本ゴルフ場経営者協会、全日本ゴルフ練習場連盟の3団体は、経営戦略会議を開き、2025年にはゴルフ市場を2兆円に引き上げる提言を行っている。ゴルフ場、練習場、用品業界、ティーチングのそれぞれの市場の現状と未来予測をはじき出し、その上で何をやっていくかを提言している。
ところが、パチンコ業界は減り続ける遊技人口に対して、ただ指をくわえて見守るばかりだ。ゴルフ業界のように業界が一丸となって数値目標を掲げ、具体的に行動に移すことをやったりしない。
子供のころから慣れ親しんだものを大人になっても続ける産業は強い。東京ディズニーランドやUSJなどのテーマパークやゲームがそれに当たる。
「子供向けのパチンコ機をおもちゃメーカーではなく、パチンコメーカーが本気で作って発売することです。売れる、売れないではなく、子供のころからおもちゃで慣れ親しませることが重要です」(業界アドバイザー)
他業界と違ってパチンコ業界で遊技人口を増やそうとすると、今の時代ではすぐに「依存症予備軍を増やすつもりか!」と非難される。
そのような世間からの批判をかわすためにも強固な組織づくりが必要である。全日遊連の内外に、以下の専門組織を置く必要がある。
①マスコミ対策を含めた専門的な渉外(広報)担当の設置
現在は情報時代。インターネットを含め、情報合戦で負けないだけの戦略を練り、国民にアピールしていくことが大事だ。
②強力な顧問弁護団の編成と専門的な法律担当の設置
法律で武装し、不当な弾圧やいわれなき差別には、法的措置も辞さない覚悟でもって事にあたる。
③パチンコ業界の現状の分析と中長期的な未来を検討するシンクタンクを設立
時代に翻弄される生き方はやめ、明確な将来ビジョンにもとづいて、業界の繁栄を追求していく。
こうした組織固めをした後でないと批判されるばかりで論破もできず計画は頓挫してしまうので、この3つに関しては必須条件だ。
それから業界が一丸となって遊技人口を増やす努力を始めなければならない。