長年の夢を実現させたホールオーナー
実業家の前澤友作氏が長年の夢だった宇宙旅行を遂に実現させた。ロシアからソユーズに乗り込み、国際宇宙ステーションに無事到着。12日間滞在して100のミッションに挑戦した。
その模様はYouTubeで配信されているが、前澤氏が宇宙から最初に伝えたかったことは、「夢は叶う」ということだった。
今回の宇宙旅行については批判も少なくなかった。
「おカネを出せば誰でも行けるんじゃんとか、おカネで夢を買ってんじゃねえよという人がいるかも知れないけど、着々と少しずつ小さな夢を叶える中で、遂に子供の頃からの大きな夢を叶えることができた。皆さんも夢を諦めずに頑張ってください」とエールを送った。
前澤氏の宇宙旅行の夢から比べると遙かにスケールは小さいかも知れないが、ホールオーナーが長年の夢を叶えた、という話である。
ホールはユニークな営業を次々に打ち出し、業界誌でもたびたび取り上げられてきた。ところがオーナーはメディア嫌いなので、一度も業界誌に登場したことはない。
オーナーといって40代の2世経営者。2店舗を引き継ぎ、自分の力で11店舗まで増やした。
オーナーには夢があった。
それは毎日ホールに足を運んでくれるお客さんと温泉旅行へ行くことだった。
オーナーはそれを実行した。60歳以上のお客さんを対象に、150人を日帰りの温泉旅行に無料招待した。幹部はオーナーの夢に対して「面倒くさい」という理由から反対したが、最後はオーナーに押し切られた。
大型貸し切りバス3台を連ねて、温泉旅行は挙行された。
オーナーはバスから降りてくる人、一人一人の手を取り合った。
「パチンコ営業は直接お客様と触れ合うことがなかった。温泉旅行を通じて直接お客様と触れ合いたかった。利益を出しているのはお客様のお陰。恩返しをしたかった」
温泉に浸かった後は大宴会が繰り広げられた。舞台ではこの日のために練習した幹部による時代劇の寸劇が披露された。そして、お酌をして回った。
宴会場はホールの粋な計らいで感動に包まれた。
翌日は旅行に行った150人のうち、120人が朝から店に並んだ。中にはオーナーにお礼の手紙を携えていた。その数は一人や二人ではなかった。
「ありがとうございました。一生、●●●●へ行きます」
手紙を読んだオーナーの目にはキラリと光るものが流れた。
温泉旅行は3回目まで行われた。
こうした感謝の表し方もあるわけだが、普通は頭で思い描いてもなかなか実行できるものではない。それを実行してしまうことが、このチェーン店の強さの秘訣でもあろう。