50銭パチンコ時代の到来?
都遊協が10月19日に開催した遊技場経営者研修会で、警視庁の担当者が講和の中で妙な発言をしていることが気になる。不正改造の防止、賞品の取り揃え、幼児の車内放置など警察がいつも業界に訓示していることを10項目も並べたため、参加者の多くは聞き流していたが、一つだけいつもとニュアンスが違うものがあった。
それは射幸性を抑制するために1円パチンコだけでなく、50銭パチンコの導入を勧めたことだ。貸玉料金の選択は、ホール経営者が決定することで、営業方法まで警察が口を挟む問題ではない。
ただ、現実問題として4円パチンコを打てる客層が激減している。それによって業界自らが考えたのが1円パチンコであり、まだ浸透力はない50銭パチンコである。
これまで警察が50銭パチンコに触れることはなかったが、警察庁としてはカジノ法案の成立を睨んで、パチンコを本来の遊技の姿に戻そうとしているのかも知れない。
50銭パチンコが主流になれば、大量に玉が出ても換金額は4円の1/8になってしまう。4円で1万円分玉を出しても1250円にしかならない。こうなると射幸性はそそられない。
許認可権を持っている警察は、生殺与奪の権限を併せ持つ。
不正を働く、ルールを守らないホールは厳しく取り締まって、パチンコ業界から退場してもらうのが一番だ。矢継ぎ早に警察庁から通達された広告宣伝規制や一物一価の徹底が意味するものは何か?
これまでの各県警本部と県遊協の癒着にも近い関係を断ち切らせるための警察庁の意気込みともいわれている。その背景にあるのが警察庁が狙う監督官庁としてのカジノ利権である。
パチンコ業界もまともに指導できない警察庁にはカジノを任せられない、と他の官庁から攻撃されないためにも、パチンコ業界をきれいにそうじすることが警察庁の急務でもあろう。
監督官庁利権だけではない。
カジノ合法化後のパチンコとカジノの棲み分けが必要になる。カジノがギャンブルに対して、警察庁はパチンコを遊技と言い続けてきた。4号機時代100万円も勝てるようなスロットが裏モノではなく、保通協の型式試験を適合したとして設置されていた時代があった。
遊技といいながら遊技の範囲をはるかに超えた現状を黙認してきた警察庁が、本来の遊技に戻すためにどこから手をつけるか、ということになる。
限りなく黒に近い三店方式を禁止して、換金を完全に禁止してしまえば、ホール経営は一瞬の内に瓦解してしまう。これは雇用や税収の問題もあり劇薬過ぎる。
遊技機規則を改正して射幸性の高い機械が作れないようにすることも必要だろうが、一番シンプルな方法は1玉4円の貸玉料金を1玉1円以下に改正することだ。
大阪の老舗ホール企業は、ピーク時に比べて売り上げは下がっているがこの5~6年増益経営を続けている。3代目社長が先代から徹底的に叩き込まれたことが「客単価を下げる」ことだった。最高の立地でどこよりも安く遊べるとなれば自ずと客は集まる。薄利多売営業を60年以上も続けている。
法改正で貸玉料金を下げられても、売り上げが減って経営が成り立たない、という悲観的発想を持つのではなく、これで本来の大衆娯楽の姿に戻れ、パチンコ人口が増える、と前向きに捉えることが必要だ。