ヒートテックに匹敵する業界技術とは
パチンコメーカーの技術者(33)が、業界内再就職を考え、2社の面接を受けるも、2社とも落ちてしまった。経験は7年で経歴としては中堅の域に達していたが、落ちたのには落ちたなりの理由がある。
業界内再就職を考えた理由は、身に着けた技術が他業界では通用しない、という単純な理由だが、前職でヒット機を手掛けた実績もなければ、採用されることもないだろう。
拾ってくれるメーカーもなく、すっかり自信を失くした。結婚して子供もいる。業界に再就職ができる日を待って1年ほどアルバイトで食いつないだ。それも限界に達した。
どうしていいか分からない状態に陥り、在籍していたメーカーの販社の社長にSOSの電話を入れた。そこで1人のアドバイザーを紹介される。悩みを打ち明け身の上相談に乗ってもらうことになった。
で、アドバイザーが出した結論が業界外へ就職することの選択肢だった。この時業界の経験を一切捨て、資格を取ることをアドバイスした。例えば、大型トラック運転手は慢性的に不足している。自動車学校へ通って大型二種免許を取れば、新たな就職の道が開ける。
このアドバイスを受けて吹っ切れた。
「業界に未練を感じていたけど、業界の将来性も明るい話はない。決心がつきました。タクシー運転手の道に進みます。タクシー会社なら、二種免許は会社負担で取らせてくれるので、カネのない私にはありがたいです」
彼のように第二の人生を送ることにならざるを得ない予備軍を供出することになるメーカーはまだ何社かある。業績不振のメーカーは、週刊誌に「メルトダウン」と見出しを付けられて変な噂を書かれたこともある。
「大の大人がいじるのが恥ずかしいギミックが多い。大人が触っても恥ずかしくないものを付けなければダメでしょう」と指摘するのは大手シンクタンク関係者。当該メーカーの業績不振を調査した。
メーカーが再生するヒントについて、衣料品業界を例にこう説明する。
「衣料品の売り上げは気候にも左右されるが、それ以外に売れる理由はファッション性の他おカネに余裕がある人が買うから。さらには、ヒートテックのような新機能が加われば爆発的にヒットする。要はパチンコ業界のヒートテックを見つけることですよ」
パチンコ業界のヒートテックとは、平和のゼロタイガーであり、三共のフィーバーだったが、もう、もう何十年も業界のヒートテックが登場していない。
役物やギミックを派手に動かすことは業界のヒートテックではない。